『StarTRain』好きなところメモ

ネタバレあり。

 

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飛鳥の考え方①

「うち、自分が滅茶苦茶好きやねん」

「……知っとる?自分のこと好きにならんと、幸せになれへんのやで」

「初めて聞いたよ」

「他人との別れは何度でもくる。でも、自分だけは一生付き合っていくもんやから」

「だから、自分だけは絶対好きにならんと、あかんねん」 

 

先輩と別れる司

「……先輩は、自分が好きですか?」

「…………」

「さっき夢原が言ってましたよ。自分を好きだって思えなきゃ、幸せになれないって」

「先輩は、どうなんですか?」

「私は……」

あの日、先輩が差し伸べてくれた手。

オレはその手が、とても温かいと思った。

ずっとその手に、すがっていたいと思った。

「――前に言った通りだよ。私は自分が、大嫌い」

「……だったら」

だったら。

「――自分を好きになりましょうよ、先輩」

「…………」

「人に嫌われることに怯えてても、幸せは掴めないと思うんです」

「……ねぇ、先輩。臆病が嫌なら、頑張ればいいだけなんです。自分の気持ちに嘘をつくのが嫌なら、正直になればいいだけなんです」

「……オレは、先輩に正直に生きて欲しいですから」

「…………」

「先輩、大好きです。大好きだから、幸せになって欲しいんです」

「嘘じゃなくて、ちゃんと幸せになって欲しいんです」

――幸せにしてもらおうと、思った。

――幸せにしてあげようとも思った。

でも、焦って、必死になって、でも結局、違うんだと気付いて。

(中略)

「……早く行かなきゃ、もう8時まわってますよ?」

「……!!ツカちゃん、知ってたの?」

「……はい」

「…………」

いいから、早く行けよ、先輩。

別にオレに申しワケなさそうな顔をする必要はない。だから早く――。

「……ごめんなさい」

先輩は一言そう言い残して、この場を走り去って。

……ああ、弱いなと、思った。

先輩はやっぱり、弱いなと思った。

でも、本当に弱いのは、今ボロボロ泣いてる、オレなんだと思う。

 

 

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飛鳥の考え方②

 「明日はな、幸せって信じないと、決して幸せになれへんのやよ」

「だからうち、一生懸命明日を見るねん」

「今日がダメならきっと明日は幸せや、って。そう考えれば今のこの時間だって幸せや、って」

 

 飛鳥

飛鳥を支える司

 「ごめん……ごめんなツカサ君。うち、その……時間あんま無いねん。学校終わったらバイトせなあかんし、帰ったら勉強、朝も新聞配達せなあかんし……」

「お前、朝もバイトしてんの?」

「……お金、たらへんから。こっちは親にも黙ってやって、コソっと貯金してんねん。うち、大学行きたいねん……でも大学行くのもお金かかるから……やから」

「…………」

「でも、ツカサ君とも遊びたいし……うち我侭やねん。大学も行きたいけど、ツカサ君とも一緒おりたいおもて……どっちか選ぶなんてでけへん、そう思うて」

「我侭で……我侭で、ごめんな」

…………。

……お前、そんなに頑張ってたのかよ。

「……ごめんな。我侭でごめんな」

泣きながら、何度も何度も謝る飛鳥。

全然、全く、むしろ人以上に頑張って、遊ぶ時間なんて無くて、全然我侭なんて――そんなこと。

……調子に乗って、偉そうに周囲に迷惑かけるだなんて説教したりした自分が恥ずかしくなる。

そうかこいつ、遊ぶ時間なんて無いのに、それでもオレと一緒に居たいって――そう思ってくれてたんだ。

(中略)

「――いいじゃねーか、あったかいなら」

「え??」

「あったかいなら、一緒にいると落ち着くなら、それでいいじゃねーか。何も間違いじゃないだろう??一緒に居ればいいし、一緒に過ごせばいい」

「体が寒いならオレがあっためてやるし、疲れたら頭撫でてやるし……だってオレ、ずっと飛鳥に慰めてもらってたんだぜ??そんくらいしても罰あたんねーよ」

「……違う、うちは……」

「違わねーよ。元気無いオレをずっと慰めてくれてたじゃねーか。たかがちょっと振られたくらいでうじうじしてたオレを元気付けてくれてたじゃねーか」

「オレもお前に助けられたし、だからオレもお前の助けになってもいいだろ。そういうのが恋人だろ」

 

 「……オレは、違うと思います」

「は??」

「だって、人は一人だけで生きれるって思うほど、強くないと思うんですよ」

「オレだって、この人がいなきゃダメだって人がいて、その人のことだけを考えて、それだけを頼りに生きてきて――」

流れる星を見ながら、自分がどうやれば証明されるのか、自分がどうすればここにいられるのか、そればかりを考えていた。

なんで今自分がここにいるのかとか、なんで自分が生きているのかとか、そんなんが全く分からなくなって。

手元にはコンパスも地図もなくて、空に浮かぶ太陽の位置だけを頼りに、必死に進路を模索して。

……でも結局、一人じゃどうにもならないんだって知った。

「で、それが無くなっちゃった時、周囲の人間が支えてくれて。だからオレはまた頑張れて」

「それが弱い言うことやないか」

「そしてその人達に元気付けられて生きてる内にまた、掛け替えの無い人が出来て。アスカと付き合い始めて」

「…………」

「人間って、そんなこと繰り返しながら、生きてるんだと思うんです」

(中略)

オレは人に裏切られたこともない、親に死なれたこともない若造だ。

所詮オレの話してる内容なんて、薄っぺらい人生観の下で語られているワケで。

……でも、それでも、

「オレはアスカを幸せにしたいんです」

これが、正しいと思えるから。

「…………」

「オレはあいつに幸せを貰いました。だからオレもあいつを幸せにしたい。ただ、それだけです」

  『神様のような君へ』でも思ったけど、恋人だから支えあうっていう恋愛観が好き。 

 

明日も幸せでありますように

 「あのな、ツカサ君」

「ん??」

「今うち、とっても幸せやねん

「……それは良かった」

「おかんがな、うちの為に大学のお金ためとってくれたんやって。毎日夜遅くまで仕事して、普段の仕事の後に、水商売増やして」

「…………」

「倒れるまで、仕事やってくれてたんよ……おかんが」

「……そっか」

「おかんが倒れて喜ぶってのもどうかと思うけど――うち、そんだけうちの為におかんが働いてくれてたってことが、めっちゃ嬉しかってん」

「…………」

「なぁ、ツカサ君。うち……実は、人に愛されとったんやな」

「…………」

「これが、一番欲しかったものやねん」

(中略)

ツカサ君。

今うちな、とっても幸せやねん

嘘や無くて、意地を張ってるわけでもなくて、自分を誤魔化してるワケでもなくて――ホンマのホンマに、幸せやねん

ありがとう。

流れ星がキラリと天を翔けた。

うちはその流れ星に一つ、お願いごとをする。

『――明日も幸せで、ありますように』

皆がおって、おかんがおって――ツカサ君がおって。

明日も幸せで、ありますように。

うん。

「なぁ、ツカサ君」

「ん??」

「――恋って、あったかいな」

「今日がダメなら明日はきっと幸せ」って言ってた飛鳥が「明日も幸せ」になってるの好き。 

 

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奏好き

「ツカサは不器用だからね。昔から、恋愛下手だもん」

「……ま、私も下手だけどさ」

「……………」

「……私でも、良かったのかな??」

「へ??」

「その、代わり。先輩の代わり」

――――。

「バカ、なに真に受けてんのよ。もしもよ、もしも」

「私が代わりだったらどうするかって話。ツカサは付き合ったのかな??」

「――なんでそんなこと聞くんだよ」

「……気になったから」

…………。

どうなんだろう。

こいつでも――良かったのか??

――――。

良かった、気もする。

「わかんない」

「……そればっか」

「…………」

だった、本気でわかんねーんだからしょうがないじゃないか。

…………。

オレは、ヨモギじゃなくても、良かったのか??

――ただの埋め合わせだから。

――誰でも良かった??

――――。

「…………」

――答えは、多分、出てたんだよな。

…………。

「で。結局、話ってなんだったんだよ」

「え??」

「お前が話があるっていうから、ここまで来たんじゃねーか」

「え、あ、あああ、えーーっと」

「…………」

あたふたと、何かを考えている様子。

なんだよ、一体。

「――暇だったから、呼んだだけよ」

「へ??」

「暇だったから呼び出したの」

「……なんだよそりゃ」

「……悪い!?」

いや、別に悪いってことはねーけど。

……つーかなんで怒るんだよ。

「……ふんっ」

……意味わかんねーし。

「今度から人を呼び出す時は、ちゃんと用件を伝えてくれ」

軽く迷惑だ。

「…………」

「あの……さ、ツカサ」

「うん??」

「――頑張ってね」

「なにを??」

「色々」

 

司を励ます麻衣子

「綺麗なだけの恋愛なんて、無いと思う。いやまぁ、もしかしたらあるかもしれないけどさ」

「まぁ、なに、そんなの気にしてたってしょうがないってことよ」

「……いや、そうじゃなくて……。そればっかりが、恋愛にすりかわってるんじゃないかって思って……」

「違うよ。ツッキーはモッチーのことが好き」

「じゃあなんでツッキーは、毎日のようにモッチーの机を見て悲しそうな顔をしたり、心配でモッチーの家に行ってみたりしたのかな??」

「……それは、友達として……」

「…………」

「……マイコにツッキーの気持ちはわからない。マイコはツッキーじゃないもの」

「でもね、ツッキーはそういうトコ、なんだか気にしすぎだと思うんだ。弱い自分とか、本当の恋愛とか……そんなの、無い」

「目の前に誰かがいて、ドキドキして、楽しいって思って、幸せって思えたら――それは多分、恋だよ」

「…………」

……そう、なんだろうか??

…………。

オレは――ヨモギを、好きなのか??

「……な~~んてね」

「…………」

「さっきも言ったけど、マイコにそういうことはわからない。自分で違うって思ってるんなら、断っていいと思う」

「ただね、マイコが言いたいのは、弱さだって自分なんだってこと。恋愛にはそういう側面もあるんじゃないかってこと」

「なんかマイコにはさ、ツッキーがそういうのと恋愛とごっちゃにして、苦しんでるような気がしたからさ」

 

奏の独白

 「ごめん、神崎さんと夢原さんいたからここめでは頑張ってたんだけど……腰が……」

「ぬけたの??」

「……(こく)」

……嘘をついた。本当は腰なんてぬけてなかった。

始めは単に、ツカサをからかってやろうかな~~って思っただけだったんだ。

「おんぶ」をせがんで、いやいや背中でも出してくれるツカサを見て、「実は嘘でしたー」とか言うつもりだった。

でも、あいつは躊躇い無く背中を私に出してくれて……嘘って言えなくなった。

……ツカサの背中は、とても暖かかった。

「お前、補修の誘い来なかった??」

この言葉を聞いた時、一つの期待が胸を踊った。

もしかして――ツカサも補修??早朝課外??

やった。ツカサと一緒に居られる時間が増える。これは、二年になってクラスが一緒になれなかった私にとって、本当に大きな吉報だった。

こんな些細なことでも――凄い幸せ。

まだまだ私は、恋してる。

(中略)

……もっと色々、話して欲しかった。

……家族のこと、おじさんのこと、おばさんのこと、悩んでるなら話して欲しかった。

……もっと、打ち明けて、欲しかった。

…………。

……それをあいつに、伝えられなかった。

「…………はぁ」

携帯電話を操って、あいつに変なメールを送る。

……我ながら、変なメール。

不器用すぎるだろ……私。

落ち込んでるあいつを励まして。

奈美さんのことでいつまでもうじうじしてるあいつを見るのはすごく嫌だったし、それに、これはチャンスだとも思ったから。

あいつが早朝課外に寝坊して来た次の日、あいつの部屋に上がった私は、あいつの目覚ましを止めて見たりもして。

……止めて、起こして。あいつとの時間のきっかけをつくって。

……ゴメンね、ツカサ。でも私、ツカサとの時間が、欲しかったから。ツカサを起こす幼馴染な私に、私はなりたかったから。

少しずつ……少しずつでいいから、頑張って。

――頑張って。

――頑張って。

でもやっぱり――素直には遠くて。

遠くて。

――――。

気持ち、今度こそちゃんと伝えなきゃ。

…………。

神様、私に、勇気を下さい。

 

司と一緒の高校行くために頑張ったり、ご飯作るために頑張ったりする奏が愛おしすぎる。

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ツカサを理解してあげたい

「ねぇ、ツカサ、私さ」

「うん??」

「昔、ツカサ のことを聞きたくてしょうがなかったんだ」

「へ??」

「ツカサって、人に自分のことを話したがらないじゃない??今何を思っているのか、何を考えているのか。例えば、いつもこの星々を見ながらどんなことを考えていたのか」

「ツカサの悩み事、不安、喜び、悲しみ、怒り――全部聞いてあげたかった。全部受け止めてあげたかった」

「…………」

「だってツカサ、それを求めてたじゃない??それだけはわかる。誰かに自分を理解して欲しがってた」

…………。

そう、だからオレは、先輩を求めた。

「……私はね、そんなツカサをずっと理解してあげたかった。ツカサを助けてあげたかった。ツカサの話を、聞きたかった」

「この一年、ツカサの色んな話が聞けて、とても幸せだったよ」

……ああ、そうか。

最近こいつと一緒に居て、とても幸せに感じる理由――それは。

こいつが、オレのことを理解してくれてるから。

 

七美

麻衣子の願いごと

「……ツッキーの願いごとはなに??」

マイコが聞いてきた。

「お前は??」

 「皆が進学出来ますように」

…………。

「……マイコは受験しないからね。その分皆のこと応援してあげようかな、って思って」

「ふむ」

「……実はね、今回は二つ願いごと書いたんだ」

「いいのか、それ」

「どうせハッタリならいくつ書いたっていいじゃない。一個に絞れば叶えてくれるってワケでもないし」

そりゃそうだが、そんな七夕聞いたことないし。

「後一個はね、『ツッキーが幸せになれますように』って書いといたよ」

「…………」

「だってツッキーはまだ、進学するかどうかよくわかんないじゃない??だから、ツッキーにも平等に願いごとを割り振っておこうと思って」

「……わざわざそんなことを」

「余計だった??」

…………。

「いや、そんなことはないよ」

「……幸せになってね、ツッキー」

…………。

「頑張んなくてもいいからさ」

 

StarTRain

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「ああ、この土壇場になってスペルミスとかやめてくれよ。特に元木」

「え??あ、はい」

突然呼ばれたので動揺する。

「元木はスペルミスが多すぎる。例えばここの解答、これは『line』だが、元木、なんて書いた??」

「あ、えっと――『rain』です」

 このさりげないタイトル回収好きすぎる。このルートは七美を亡くして絶望していた司が、スタートラインに立つまでの物語なんだよな。

 

 まとめ

 遠日奏ちゃんが好きすぎました。このヒロインに出会えただけでプレイしてよかったです。

 またこの作品としては、「幸せ」について、恋愛・人との繋がり・自分の弱さを交えて描かれていて、好きなお話でした。えちえちげーむはいつでも大切なことを教えてくれる。

さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation- 応援中!!